どのような本か? |
説 |
|
本題から推測して、著者は作家だと信じていた。現に小説家だった。中世・近世文学の批判を巧みに現代小説や現代世論(90年代)と組み合わせては、その善し悪しを説いているところからこの物語は始まる。しかし読むにつれ著者は、文学だけに視野を泊めてはおかない。新聞(社説)、世論、テレビ、スポーツ、ファッションetc・・・。ノーボーダーなのだ。固定したジャンルは著者には似合わない。ここに来て僕は早く風呂に入りたい!という気持ちで速読を始めてしまった。僕が速読術を手に入れたのは、膨大な研究資料か、データか、自己啓発などに費やす時間を惜しむために開発したもので、熟読したいとはもはや思わなかった。 著者はともかく頭が広い(文学や物事に対する分析が優れている)。古今の歴史の空間の埋め合わせ方がすばらしいのだ。つまり著者は、この世のありとあらゆる文学と、世論やメディアを口の中にほおばりm饒舌な舌で、古と今を旨く融合させる。そうすると、まったく別の文学や世論やメディアの価値が生まれる。高橋源一郎とは、そういうことに長けている作家なのだ。 |